「休養」の重要性
~オフシーズン期間の活用~
鏑木毅(プロ・トレイルランナー / ポラール・HRTアドバイザー)
近年、トレイルランニングの盛り上がりで、以前と比べトレイルランのレースが年間を通して行われるようになりました。
しかし、1年中、気を張ってレースを狙うことは得策ではありません。なぜなら、身体に大きな故障の危険性をうむだけでなく、心身ともに大きなストレスを与え、慢性疲労に陥る可能性を高める原因となるからです。この様な状況に陥ることは、レースでのパフォーマンスに大きく影響を与えるだけではなく、レースに向けたトレーニングにも大きな変化を与えます。
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例えば、私の様に100km以上のロングトレイルレースを主な目標にしているフィットネス愛好者にとっては身体へのダメージが極めて大きく、オフシーズンの過ごし方が次のシーズンへの結果を大きく左右するため、重要になります。オフシーズンの過ごし方に関しては、トレイルランナーに限らず、あらゆるスポーツのフィールドで活躍されている方達にも同じことが言えます。
オフシーズンには大きく分けて以下の二つの考え方があります。
【オフシーズンの考え方】
その1:「体のオーバーホール」と「精神的リラックス」期間
私はトレイルランニングのシーズンを9月までとし、その後の2~3ヶ月間は「体のオーバーホール」と「精神的リラックス」期間と考えます。その目的は以下の3つです。
1:体のオーバーホール
2:故障個所の完治
3:精神的なリラックス
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シーズン中のハードなトレーニングやレースで、身体は思いのほか大きなダメージを負っています。身体の奥深くの芯に残る疲労をとり、精神的なリラックスをしっかりと開放してあげることが次のシーズンまたはレースで満足のいくパフォーマンスで、満足のいく結果を出すための大きな鍵となります。
私は以前、シーズン最後のレース結果があまり良くなかったため焦り、これらの期間を十分にとらずにハードなトレーニングを継続したことがあります。結果的に、慢性疲労に陥り、次シーズンのほぼ半分を棒に振ってしまいました。この経験は私に、「オフシーズンの重要性」を認識させ、考えを改めるチャンスを与えてくれました。それからはシーズンの成績・結果にとらわれずしっかりとこの期間を過ごすことで好成績につなげることができました。
その2:シーズン期に向けての基礎作りの期間
私は7~8月にかけて身体を最高の状態にもっていくために年明けから最初の3~4ヶ月を基礎作りの時期としています。
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この期間は、レースにはほぼ出場しないという点でオフシーズンの期間と同様なのですが、この期間を設けることにより、トレイルラン(その他の持久系競技)に最も重要な体脂肪燃焼サイクルをほぼ完全に構築できます。そして、この期間を設けるか設けないかによってシーズンの成績を左右する最も重要な期間になります。
※基礎作りの期間の詳細については次回の記事にてご説明させていただきます。
■オフシーズン中のトレーニングについて■
オフトレーニングの期間中、とにかく自分を極限まで追い込むようなトレーニングは避けましょう!私は、低強度での有酸素トレーニングや、低負荷での筋力トレーニングを行い、時には水泳、バトミントン、スカッシュなどの他球技を行い、少しの間トレイルランか離れることにより心身をリラックスさせ、気分転換として楽しみます。また時には終日歩く山登りやロングライドのサイクリングなども行います。勿論、その際も高強度では行いません。
ここでのポイントは「楽しく、気ままにできるものを継続して行う」ということです。
【オフトレーニング時のゾーン設定】
トレーニングのボリュームと強度はトップシーズンの50~60%(ポラールスポーツゾーン1)または60~70%(ポラールスポーツゾーン2)を理想とします。トレーニング時の各ゾーンごとの理想心拍数を算出した上でトレーニングを行うことをお勧めします。(下記の表参照)
-ゾーン1の場合での理想心拍数範囲-
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